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しんちゃんクリニック2

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平成15年 (2003年)
3月 4月


高田明和  40歳をすぎてからの賢い脳のつくり方(講談社+α新書,2002)★★★★

最初に断っておくと,自分がその年を目の前にしていて,少しでもアタマを良くしたいから,という理由で購入したのではありません。あしからず。

著者は,前大学教授で,生理学者。いやいや,すごいのは,仏教や禅を生理学で説明しちゃうところ。これは読み応えがあります。生理学の復習にもいい教材かも(笑)。

若者と同じ土俵で競ってはダメ!もっと脳の奥に眠る心の力を引き出して,こちらの土俵で相撲を取ろう,と呼びかけるところは,おじさんの心をくすぐるかもしれません。

仏教では,心,宇宙の成り立ち,その運行を支配する法則が3つあると考えるそうです。

  1. この世の全ての出来事は因縁の法則に依っている。
  2. この世ではすべてのものは絶え間なく変化し,瞬時といえども同じ状態にはない。
  3. この世のすべてのものの根底は真や空,あるいは仏心などと呼ばれる永遠に続くものからできている。

私は仏教徒ではありませんが,納得しちゃいますね。特に,3つ目の真・空という概念,これは全くその通りだと思います。でも,まだまだ蒼い私には,それが実感としてわからないんですねえ。わかるように努力してますよ。人生日々勉強です。

2003.5.30


野口悠紀雄  「超」整理法1(中公文庫,2003)★★★

1993年以降,ベストセラーとなった同書(中公新書)の文庫版(改訂増補)。4冊シリーズで文庫本を出す予定のようで,本書はその最初のもの。「押し出し式ファイリング」という,時間軸で整理する方法を世に知らしめたという著者の功績は非常に大きいものでした。経済学者の著者がそれで一躍有名になり,次から次へとベストセラーを書き連ねています。

私も当時それを読んで,早速書類の整理にその方法を導入しました。今は完全ではありませんが,あらためてこの本を読み,もう一度やりなおしてみようと,決意した次第です。

2003.5.29


小石雄一  モバイルスタイル 最強の時間術(PHP,2002)★★★

「デジ・アナモバイル」の組み合わせを推奨する著者。私の考えと全く同じですね。携帯電話・パソコン・PDA でデジタルモバイルを,手帳・名刺でアナログモバイルを,というのが著者。濃密な時間を作り出すために,どんどんモバイルしよう,と推奨しています。

こういう本を読むと,私の悪い習癖がくすぐられます。う〜む…。まずは,モバイル小物入れ用(デジカメ,PCカード,USBケーブル,USBスティックメモリ,モデムケーブル,CLIE用通信アダプタ,等々)として,100円ショップで化粧ポーチを購入しました。これが予想以上にバッチリ。ありがとう,小石さん。その他,付箋紙を購入(これは自己判断)。

そうなると,次はやはり,モバイル用の機器が必要ですね。自分の時間を作り出すためにはどのようにすればいいか,思案のしどころです。用途はたくさんありますね。いや,今持っているCLIEを買い換えようという気はないのです。さてさて…。

2003.5.25


国司義彦  自分の最高の力を引き出すために何をすべきか(三笠書房,1989)★★★★★

少し古い作品ですが,著者が自身のライフワークの結晶と位置づけているだけあって,力作です。

アメリカの人間性心理学者A・H・マズローの『マズローの心理学』の中の「自己実現」に影響を受けた著者が,それを発展させたのが本書でしょう。

自分自身を見失う,あるいは見出せない人が多い今の時代にこそ,この本は最適なのだと思います。今こそ「価値ある目標の発見と自己実現の時代」であり,「それができたときこそ,本当の幸福感を味わうことができる」というのが著者のメッセージです。

医師の方にも役立つ内容ですよ。


MILOS JENICEK(西 信雄,川村 孝:訳)  EBM時代の症例報告(医学書院,2002)★★★

原題は "Clinical Case Reporting in Evidence-Based Medicine"。

医療界は,evidence-based medicine (EBM) の時代を迎えています。EBM を簡単に説明するのは難しいのですが,私なりにひとことで言えば,これまでに得られた信頼のできる客観的かつ目の前の患者さんに最も適した臨床研究の結果を,その患者さんに適応できるかどうかを批判的に分析して,その結果をもとに,患者の治療やアドバイスを行っていく医療のことです(語弊があるかなあ…)。誤解があってならないのは,その研究結果通りに患者を治療しろ,というのではありません。一昔前までなされていたように(現在も?),権威のある人の意見を丸飲みするのではなく,目の前の患者さんの課題や疑問に対する解決方法が,本当に客観性・普遍性を伴うものであるのかどうかを検討して,医療を行うことが求められているわけです。。

その原理でいくと,症例報告というのは少数の症例を扱うがゆえに,いわゆる「エビデンス」の価値としては低い位置づけとなるのですが,著者は症例報告こそが EBM の原点であるとして,EBM の観点からその価値を説いています。医師には,一読の価値のある一冊でしょう。


宮城征四郎,黒川 清  日本の医療風土への挑戦:明日の「医者」を育てる(医療文化社,2003)★★★

私は医療・医学関係の単行本はあまり読まないのですが,これは著者謹呈なので拝読いたしました(ありがとうございました)。

医療界に辛辣な提言を続けるお二人の対談を含んだ本なので,タイトルどおり内容は「挑戦的」です。そして,その背景を知る人にはかなり「刺激的」(殺人的?)かもしれません。これまでの日本の医療界(特に「医局制度」の功罪についての議論があれば良かったのですが。良いところ悪いところの両面を,です)。

このウェブサイトでも書いていることでもありますが,今の変革の時代には,変化を受動的に受け入れるばかりではなく,それを絶好の機会と捉え,自らを自らの望む方向に変化させなければ,その変化に不安を戸惑いを感じるばかりです。変化の中に身を投じて,変化することを楽しんで,後世への土産を真剣に考えるのであれば,変化の充実感も得られるのだと思います。

「固定は死なり。」流れの淀んだ水には生物は生息しません。常に流れを見つめ(捉え),水のように,寒くなれば氷に暑くなれば蒸気にと,その時々の条件に合わせて自らの形を変えていく必要がある場合もあります。だが,水が水であることを忘れてはいけません。その背骨(バックボーン)がしっかりしていれば(これが最も重要だと思いますが),どんな場所に流れていこうと,動じることなく,その環境と変化を自然に受け入れながら,周囲に潤いを与えることができるのだと思います。

お二人の求めるところを私流に解釈すると,そういうことになりますが,いかがでしょうか。


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