理想の携帯情報ツールを求めて    2000年(平成12年)5月21日

Palm,WorkPad,VisorといったPalmOSで動く携帯情報機器が人気を集めているという。かくいう私も昨年3月末からのWorkPadユーザーである。PalmOSで動くこれらの製品,Handheld WindowsCEで動く製品,奮闘する国産のザウルス(とその仲間),マニアの間で人気のPsionあるいはRevoなど、携帯が可能なこれらの機器はPDA (personal degital assistant) と呼ばれることもある(いろいろな呼称があるが、ここではPDAに統一させていただく)。これはAppleが数年前に開発したNewtonという機械をこう呼んだのが始まりだ。つまり,個人がそれぞれが持つデジタル情報をいつでもどこでも使用できるようにアシストをする道具,ということだ。実際に,Newtonには便利な機能がいくつも詰まっていた(今でも一部の人達からは称賛されている)。
理想のPDAあるいは携帯情報ツールとは何か?私個人の見解を述べる。

ハードの面から:
●携帯可能な重量(軽くて小さいほどいい)
●入力が簡単(個人的には,ペン入力よりキーボード入力が簡単。でも,日本語入力が正確で処理が速いのであれば,ペン入力でもよい)

ソフトの面から:
●メモが素早く入力可能であること。メモは手書き入力が手っ取り早いので,それができるのが大前提である。個人的には,AppleのNewtonのように,Mandal-Artというソフトが使えればありがたい。
●いろいろなファイルがハイパーリンク,あるいはパイパーテキスト化できること。
●母艦のコンピュータ(デスクトップ,ノートパソコンを問わない)とシンクロナイズできること。私の場合,Mac とシンクロナイズできることが必須。これはデータのバックアップ,入力の手間(母艦からの入力が速い)を考えると,どうしても必要な条件。
●スケジュール&To-Do list。これも必須だが,スケジュールは,最低でも週間表示がきちんとできなければ使い勝手が悪い。文字の月間表示が可能ならとてもありがたい。バナー機能もつけばなお良い。
●長時間持つバッテリー。WorkPadのように,リチウム電池で2週間も持ってくれればとてもありがたい。必要かつ十分なバッテリーの持ちだ。乾電池の使用で資源浪費や環境問題にならずに済むし(壊れたときの電池の回収は会社が負担すべきと思う)。
●住所録。これはあまり必要ないのかも。携帯電話がこれだけ発達し広まったした今,電話番号は携帯電話に入れておけばよい。携帯電話を使用しない人は別。
●通信/Fax。これは・・・まあ,あれば便利。なくてもよい。

これだけの条件を満たす機種となると,正直言ってない。現時点でのPDAの選択はWorkPad c3もしくは最近発売された Palm シリーズということになろう(写真)。これらも私が一番必要とする「メモ」の条件を満たしていないし,Mandal-Artも使えない。キーボード入力という方法もあるが,お世辞にも入力が快適だとは言えない。
メモの条件を満たすとなれば,AppleのNewtonだろう(写真)。あるいは,ハイパーテキスト化が魅力のTipoという製品もあった(ほとんどの人は知らないと思う。だから売れず,発売中止になってしまった)。しかし,これらは持ち運ぶには大きすぎる。Newtonを購入して,1ヶ月も使用しなかったのはそれに尽きる。PDAにしろ,手帳にしろ,必要な個人情報を「携帯」できなければ意味がないのだ。携帯して,必要なときに見ることができ,書き込むことができることができなければならない。
メモということから判断すれば,PDAより紙(アナログ)が勝る。そして,年間計画や月間計画などの一覧性を要するのも紙の方が非常に見やすい。

これらのことから,PDAと紙(一般の手帳やシステム手帳)の長所・短所は表裏の関係にあるといえる。それぞれの長所をまとめると,次のようになる。
【PDA】
・大量のデータを入れても手帳のように厚さが膨らむことはない
・繰り返しのスケジュールを自動設定できる
・設定さえしておけば,誕生日や記念日などを教えてくれる(いちいち憶えることはない)
・必要な個人データをいつでも取り出せるので,煩わしい数字などを覚えておく必要はない <私の場合,銀行口座番号,所属学会会員番号,履歴,所属プロバイダのID,自分の洋服のサイズ:襟まわりやゆき,など必要だが憶えておきたくもないものをすべてPDAのなかに入れている。ただし,銀行口座の暗証番号やプロバイダのパスワードなどはセキュリティの面から絶対にこの中には入れていない。これこそ,自分の頭で記憶すべきものである。大事なものだけを憶えておくようにしたい>
・データのバックアップがなされる(手帳の場合紛失すると何も残らない)
【紙】
・メモするのが容易(手書きで簡単に。いつでもどこでも),破棄するのも容易
・データの一覧が可能。取り出しが容易。
・書いたものが消されずに残る <一旦必要なくなったと思ったものでも破棄されない限りはその前に書いたものが残されている・・・数分後にそれが必要になることもある>
・データをスリム化している限り重量は軽い

私はどちらの携帯情報ツールを使うか非常に悩み,多種多様なPDAやシステム手帳を取り替え,今年3月,ついにコペルニクス的発想の転換に至った。何もPDAのみや手帳のみを使う必要はないのである。両者の長所を活かすために,両者を合体させればいいのだ。人間が道具に合わせる必要はない。人間が使いやすいように道具を加工すればいいのである。

ということで,現在はこのような WorkPad c3 + Bindex N(ポケットサイズシステム手帳)の合体版を利用している。今のところ快適だ。システム手帳にはポストイットも挟み込んでおり,これも重宝している。デジタル+アナログの融合が私の理想の携帯情報ツール,ということだ。