論 一覧   ホーム


私のモバイルスタイル

●はじめに

情報は持ち歩きたいし,必要時にはメールやインターネットにアクセスしたい。だた,そのために持ち歩く荷物や備品を最小限にしたいのだ。そのための試行錯誤と葛藤が何年も続いてきた。その成果が,今のスタイルだ。それを紹介する。

最後に,私がそこまで悩んでモバイルする目的を述べておく。それは自分の自由になる時間が欲しいから。職業柄,昼夜休日問わず,呼び出しがかかる。出張も多い,そして,やるべき仕事も多いし,ついでに雑務も多い。立場上それから逃げられないし,学年の関係上他の人にその仕事を押しつけることもできない。だから,ちょっとした時間に,やらねばならぬことをどんどん片づけて,自分の時間が作り出したいのだ。本を読みたい,家族といっしょに過ごしたい,友人と酒を飲みに出かけたい,このサイトも更新したい,ゆっくりとする時間も欲しい。もちろん,医師としての自分の技量も高めたい。やりたいことは山とある。それらをやり遂げるための時間がほしい。そのためのモバイルなのだ。


●私のモバイルスタイル

1.モバイルをする人

モバイルをする人(*1)のスタイルはいろいろある。週末の達人,小石雄一氏は著書『モバイルスタイル最強の時間術(PHP, 2002)』の中で,モバイルする人のことを次のように定義している。

これには,全く同感だ。勝手ながら,私はこれをちょっと変えたものを「モバイル原則」と呼ぶことにした。すなわち,

1〜4はずっと以前から(医師になったときから),それを実現するための方法を考え,そして,悩んできた。モバイル人間にとっては,この1〜4を同時に実現することが究極の目標なのだと思う。

情報は持ち歩きたいし,必要時にはメールやインターネットにアクセスしたい。だた,そのために持ち歩く荷物や備品を最小限にしたいのだ。そのための試行錯誤と葛藤が何年も続いてきた。最近になって,私もやっと自分のスタイルが確立できてきた(*2)。

*1 個人的には「モバイラー」という言葉の響きが好きではないので,ここでは意識してそれを使用しない。

*2 十数年かかって,ようやくだ。この間にこのために費やしたコストは計り知れない。多くのマシンが私の目の前を通り過ぎていった。


2.Handheld Windows CE マシン

私のモバイルマシンとの付き合いは1996年に始まった。当時出た PowerBook 520 を持って東京出張に出かけ(*3),公衆電話に接続してパソコン通信をやっていた(*4)。以後,いろんなモバイル用機器を使用したが,どの機種も長続きしなかった。Macintosh や Windows のノートパソコン(Windows B5 サイズでさえ)は重すぎ,大きすぎ(「荷物を持ち歩きたくない」という原則に反する)。しかも,起動するまでの時間が長く,電源の on/off が面倒(「フットワークが軽い」という原則に反している)。そして,ハードディスクを内蔵しているためデータを失うという心配がある(「危機管理」上の問題がある)。また,Palm や Pocket Windows CE,あるいは携帯電話でのメールやインターネットアクセスは画面の大きさや入力ディバイスの問題があって,私の要求に応えるほどの機種ではない(「快適さを追い求めている」のだ)。

今年になって,一体そのような機種を持って何ができればよいのか,ということを考え直してみた。結局,外でできることは限られているのだ。デスクトップのようにあれもこれもやろうと考えていては,とてもじゃないがモバイル機器では対応ができないことに気づいた。結論として,最低限次のようなことができればよいと割り切ることにした。

学会の時,そして友人との交際が多い時には,所詮,出張時(モバイル時)なんてこの程度のことしかできっこないということは今までの出張を振り返れば明らかだった。いや,これだけできるだけでも,これまでよりもはるかに進歩だ。ちょっとした時間に,「簡単な方法で」メールやインターネットにアクセスしたい,できれば,学会抄録やこのような文章が書ければよい。目的が明確になれば,それに沿って必要となる装備が決まる。

モバイルする人にとって,重量という因子の占める比重は大きい。

電話回線や携帯電話を接続するためのコードほど邪魔なものはない。モバイルする人は常に身軽でありたい。

迅速な文字変換は文章を書く人にとっては,必要不可欠な機能。ATOKの優秀さは言わずもがな。

個人の好みにもよるが,私は iMODE でウェブサイトは見たくない。ある程度の大きさがほしい。

電源をすぐにon/offできることが絶対だ。モバイルの際には,ちょっとしたすきま時間を利用する。それなのに,通常のコンピュータのように起動するまで1分近く待たされるのでは腹立たしい(スリープの解除でさえいらつくことがあるのだ)。

モバイルするときには電源供給は保証されない。したがって,一仕事を終えるのに可能な程度(4時間ほど)は持続するバッテリーがほしい。

持ち歩くのだから,当然頑丈な機械がほしい(重量と反比例するかもしれないが,最新技術で実現可能なはずだ)。

ということで,先の小石氏も Window CE を使っているということからヒントを得て,上の条件を満たすものを探し出した。それがHandheld Windows CE マシンの Sharp Telios。これがまさに私にぴったりだった。A5サイズの大きさで画面もキーボードも手頃,ATOK標準搭載,重量も1 kg 未満と軽く,ハードディスクを持たないので,データを失う心配がほとんどない(*5)し,RAM上で動いているので電源は即オンだし,アプリケーションも動作が軽やか(機能はパソコンに劣るが,モバイル中にはそれほどの機能を要求はしない)。さすが液晶の Sharp だけあって,画面は見やすい(*6)。カード型PHS(C@rd-H")を購入し,いつでもどこでも手軽にメールやインターネットにアクセス可能。さらに,この Telios,本体の外側にメールへのアクセスボタンがあって,本体を閉じたままでもメールを受信したり,指定したインターネットサイト循環をしてページを保存してくれるという優れものだ。附属するイヤホンについた小さな液晶画面でメールを読むことができるという機能もある(本体を閉じたままで可能)。さらに,ボイスレコーダーまで装備しているので,文章を書いているときに,思いついたちょっとしたこともボイスメモで入れておくだけ。まさに,モバイルのための機械だ。

この機種選択はまさに正解であった。ちょっとした空き時間で様々な文章を書くことができるようになった(実際,この文章もすきま時間を利用して書いている)。抄録,学会発表原稿,論文や依頼原稿の下書きが書ける。特に,事務書類の作成には大助かりだ(*7)。届いたメールにもすかさず返信を送ることができる(私はもらったメールには「すかさず」返事を送らないと気が済まない質なのだ)。

残念ながら,この Telios は生産中止になるようだ。今後のグレードアップは期待できないが,これが壊れる頃には,さらに新しくて有能なモバイル機器が登場していることを期待している(*8)。

*3 今考えると,よくあんな 3 kg 近い機械を持ち歩いたものだ。おかげで,公衆電話の置いてある台から PB520 を落としてしまい,壊してしまった。神のお告げと考え,発売中止になったばかりの PowerBook Duo 280c (1.9 kg だったかな。28.8 kHzモデム内蔵が魅力的だった)を安くで購入。それを持ってラオスへと出かけていった。

*4 パソコン通信という言葉がすでに死語か!?当時,グレーの公衆電話が出て,パソコン通信をしていた者は随分と助かったのだった。

*5 それでも心配なら,PCカードやCFカードに保存する。Telios は両方のカードスロットを持つ。

*6 一応大学在籍者なので,研究者という名が汚れぬよう,類似の機種とも比較検討した結果の判断(爆)。

*7 医局長という職に就いてからというもの,やたらとこの類の書類書きが増加した。

*8 私が「コンピュータを壊れるまで使う」と宣言するのは極めて稀。これまでめまぐるしく数々の機械を換えていったのだから,これは非常に満足しているマシンなのだ。


2.手帳

私の手帳の遍歴を書くと,長くなるので割愛するが,ともかくも様々な種類とサイズの手帳を使い,金もつぎ込んだ。一時期,手書きの手帳から離れ Palm のみでやりくりをしていたが(ちょっとしたメモには手帳を使っていた),最近から再び手帳を復活させた(Palm も併用;詳細は PDA(Palm) の項で)。今使用しているのは,以前から気に入って使っていた,ポケットサイズのシステム手帳よりやや大きめのサイズ("SD手帳"より数ミリ横幅が長い)の "Bindex N" というシステム手帳だ。お気に入りではあるのだが,近々バイブルサイズのものに変更しようかと考えている。

その理由は,この手帳のサイズは持ち歩くには手頃なのだが,文字を書き込むには小さすぎるのだ。特に,時間目盛りの入った1ページ1週間の週間予定表(*1)にいろいろと文字を書き込むのは大変なのだ。それに,このさいずのリフィルを販売する店が少なくなってきたということもある。

これまでバイブルサイズを使用しなかったのは,それがどうしてもポケット(ズボンのポケットでさえも)に収まらないからだ。しかし,以前に購入してあった薄型のバイブルサイズ手帳がなんとかポケットに収まることが確認できたことと,後述するお気に入りのモバイル用バッグを入手できたことから,その手帳を再度使用することにした。リフィルの入手が容易なのもありがたい(*2)。

さて,私が再び(三たび?)スケジュール管理等にも手帳を使い始めたのにはわけがある。それは,PDA (Palm) の欠点の裏返しとなるのだが,手帳の場合,スケジュールが年,月,週単位で一瞥できるのが最大の長所だ。PDAではスケジュールの「流れ」がわからないのだ。この「流れ」がとても重要であることを認識できたのは,遅蒔きながらも,よかったと思っている。私の場合,やりたいこと,やるべきことをスケジュール化していくと,開始時の「点」と締め切りの「点」の間をどうしても「線」で結ばなければならなくなる。多くの予定が重なる場合,その線の調整をしなければならない。手帳とPDAの両方を使ったことのある人ならすぐにわかることだと思うが,そういう調整はアナログの手帳の方がはるかに優れているのだ。ただ,PDAにはPDAのいい点がある(たとえばアラーム機能など)(*3)。個人的には,予定が「点」で済むことの多い人にはPDAの方をお勧めしたい。ただし,両方を用いてスケジュールを組むのはやめた方がよい。予定の入り口が複数あると,ダブルブッキングが起こるからだ。予定表は「ポケット一つの原則」(*4)を守りたい。

手帳のもう一つの利点は,メモをすばやく取れること。この「速さ」はPDAが全く追いつけない点だ。ペンさえあれば,いとも簡単にメモが取れる。PDAでは電源を入れ,メモソフトを起動して,スタイラス(ペンの形をした入力用デバイス)を取り出して,と何かと時間がかかる。そのうちに,何をメモしたかったのか忘れたりして…(笑)。しかも,入力のやり方がまずいと,文字を認識してくれない。俺はこう書きたいんだ,と思っても,機械のほうは「そんな乱暴に書き込むのであれば,私はそれを理解することができません」と返してくる。一体,誰が主人なのかわからなくなってしまうのだ。

さて,書き込んだメモだが,保存が必要になった場合,その整理法が問題となる。その整理法については,多くの書籍の中で述べられているのでここでは触れない。私もいろいろと試したがダメだった。私の結論として,保存が必要なものは後で必ず検索が必要になる。検索となるとデジタル処理されたものには絶対にかなわない。ということで,メモはデジタル処理することにしている(詳細は PDA(Palm) の項で)。あと,デジタル処理が便利なのは,住所録だ。これについては詳しく述べなくても理解できると思う。

結論として,いつでもどこでも必要となり,しかも入力の速度が要求されるもの(予定表やメモ書き)にはアナログが,検索したり保存が必要なもの8住所録や保存メモ)にはデジタルが向いている。

*1 私の愛用は Bindex のもので,能率手帳と同じ様式。

*2 日付入りのリフィルは数百円するが,先日それを百円ショップで見かけた。

*3 何かに没頭している場合には,次の予定を忘れてしまうことが多い(特につまらない会議の予定など)。そんな時,PDAのアラーム機能が便利。私も何度かそれに助けられたことがあるので,その機能を手帳とうまく併用できないものかと思案中である。

*4 野口悠紀雄:「超」整理法(中公新書)


3.PDA (Palm)

Personal digital applicants (PDA) 「個人デジタル端末機」は今や人気商品である。私の使用している PDA は Palm Vx という製品だ。PDA が必要なのかどうか。私の答えは Yes でもあり No でもある。その人の情報処理の状況に応じて,必要かつ有益だと感じれば使えばいいだけのことである。逆に,そういうことは手帳やメモ帳で十分という人は使用する必要はない。絶対にやめたほうがいいのは「皆が使っているから(あるいは,人が勧めるから),私も使う」という消極的ユーザーなることである。それこそ,金と時間と労力の無駄だから。

さて,私が感じる PDA の利点と欠点を述べ,私の個人的な PDA の使い方や展望を考えてみたい。

【利点】

 1)予定表のアラーム機能
 個人的には,このアラーム機能(設定により,予定の数分前にアラームを鳴らすことができる)が非常に気に入っている。何かに没頭している場合には,ついつい次の予定を忘れてしまうことも多い(特につまらない会議の予定など)。そんな時,PDAのアラーム機能が次の予定を知らせてくれるのはありがたく,何度かそれに助けられたことがある。ただし,アラームが鳴ると,周囲にいる人が何事かと一斉に振り向いてくるが,それさえ気にしなければ,便利な機能だ。アナログ手帳にはそれなりの有益な面があるとあるが,何度も手帳と時計に目をやらなければ次の予定の行動に移ることができない。アラーム機能を手帳とうまく併用できないものかと思案中である。

 2)細かな入力や閲覧を必要とするデータベース
 この用途には非常に便利だ。本格的なデータベース入力が必要な人は,FileMaker Mobile というソフトを利用すれば,パソコン上の FileMaker Pro とシンクロナイズが可能となる(FileMaker ver.5以上が必要)。また,FileMaker上のデータベースを持ち歩けることになり,いつでもデータ閲覧が可能となる。
 私の Palm には医学関係のデータベース(薬剤,抗菌薬,疾患に関するもの)が入っている。デジタルデータベースのいいところは検索がすぐにできること。ちょっとした確認にはもってこいだ。
 また,PEM というこづかい帳ソフトを利用して,毎日の主な支出を入力している。FileMaker Mobile も持っているが,箱さえも開けていない(必要としていないなら買わなければいいのに)。この文章を書きながらアイディアを思いついた。個人的に必要な情報は FileMaker Pro に入れておけばいいだけのことか。これまでは,実は,PalmDesktop のメモ帳を利用していた。テキスト処理が楽だし,Macintosh でも Windows でも同じソフトが使えるので,データベースに入れておいたほうが使い勝手がいいに決まっている(なぜこのような当たり前のことに気づかなかったんだろう)。早速,そのようにしてみたい。

 3)住所録
 これも一種のデータベース。1年もののアナログ手帳だと毎年のように書き写すのが面倒だが,PDAなら変更個所の修正だけで済む。PDAによっては,アドレス帳に記載のあるメールアドレスや電話番号に直接アクセスできる機能を持つものもある。もっとも,現在は電話番号はすべて携帯電話に入っているので,住所録を活用する機会はめっきり減ってしまった。

 4)画像
 家族や恋人の写真を入れておけば,常に新鮮な画像を見ることができる(見たくない場合もあるかも)。私の友人などのようにCT写真や細胞の写真を入れてちょっとオタッキーになることもできる。カラーの PDA ならなおよい(それだけメモリーは食うが)。私個人はモノクロの PDA ということもあって,画像ファイルは一切入れていない(その必要性も感じない)。

【欠点】

 1)一覧表示ができないし見づらい,メモがすぐにとれない
 一覧表示を必要とするとき,例えば月間計画や週間計画を立てるときには,PDAはとても不向きだ。画面が小さい上,入力の手間が馬鹿にならない。それもあって,PalmDesktop でやって入力は何とかカバーしたが,PDA上で月間予定を見たいときには全くだめ。また,思いついたことをパッパとメモしたいのだが,それも一筋縄ではいかない(*1)。ということで,手帳の項でも述べたように,私は再びならぬ三度手帳へと乗り換えた。

 2)バッテリー不足または故障がある
 充電さえできていれば(電池仕様のものは電池の予備があれば)問題ないのだが,そうでない場合には,バッテリー切れでは PDA を使用できなくなる。また,機械には故障がつきもの。落としたり,踏みつけたり…(いまだ PDAを踏みつけたことはないが)。アナログ手帳の場合は,そのようなことが起こり得ない(*2)。

*1 PDA での入力は簡単だという主張にはある程度同意する。しかし,私の要求するメモは,手帳の写真を見てもらえればわかるとおり,半端なものではない。このような細々とした入力には,絶対に PDA は不向きなのだ。

*2 メモ用紙がなくなるという事態は想定されるが,とりあえずそばにある紙切れでも走り書きしておけばよい。そこに書いたメモをきちんと整理処理することを忘れなければよい。逆に,PDAの場合は,故障に備えてきちんとバックアップを取っておくことが極めて重要だ。世の中,手帳でさえバックアップ(コピー)を取る慎重派もいるくらいなのだ(ちなみに,私は手帳のバックアップはしていない)。



4.携帯電話

正直な話,私は携帯電話について云々するほどには使いこなしてはいない。使っているのは通常の通話と,ごくありふれた機能だけだ(電話番号登録)。インターネット接続やメールでさえ使用していないし,ストラップにも全くこだわりがない(*1)。では,モバイルコンピュータにつなげているのかというと,それもやっていない。携帯電話がようやく一般人が使えるようになった頃(私の周りは誰も持っていなかったが),数万円をはたいて携帯電話を購入し,コンピュータにつなげてやったこともあった。理由は,快適ではないから。いちいちケーブルで接続することが面倒だ。今,私のモバイルパソコンにはカード型 PHS が常時入っているので,その必要もない。

ここで言いたいことは,ごくありふれたこと。便利な時代になったなあ,ということだけ。どこにいても電話が使えるなんて,すごいじゃん(*2)。それだけでは「モバイル考」にならないので,閑話休題。

モバイルに際しての携帯電話の問題は充電。数日間の出張に行くと,バッテリーが切れる。コンビニに行けば簡易充電器を売っているが,高いし,充電だけのためにそんなもん購入したくない。かといって,付属の充電器を持って歩くのも面倒。モバイルでは電源がいつでも使用できるとは限らない。そこで,私が見つけだしたのが「USB接続充電器」。パソコンの USB からの電流を利用して,携帯電話の充電を行うというアイディアもの。ケーブルだけだから軽い!出張時にはモバイルパソコンは必ず持っているので,USB接続充電しちゃえばいいだけだ(*3)。これこそ便利!

*1 今の私のストラップは,何と,"Anna Sui"。教室の技官さんが,私の携帯電話にストラップがないのを見かねて(私は通話さえできればいいので,ストラップなんて全く気にしていなかった),これを購入してくれた。女子高校生にもてますよ,なんてのせられて,使用している。それをもらった夜飲みに行って帰宅が遅くなり,当然のようにすぐに就寝。悲劇はその後に起きた。実は,その日かみさんが私のためにストラップを購入していて,眠っている間に取り付けてやろうとしたらしいのだが,別の,しかもどう見てもじ女性からの贈り物としか思えないストラップが電話に付いていたのを見つけてしまった。翌日の私に対する態度は明らかに変だった。翌々日問いただすと,逆に浮気をしている!と問いだたされてしまったのだった…。たかがストラップ,されどストラップ。携帯電話をバカにしてはいけませんよ,皆さん。

*2 私の場合,逆に迷惑なことさえあるのだ。出張先でのんびりしている時にも仕事の電話が入ってくる。もっと頭にくるのは,夜中のワンキリ。現在の立場上,電話がつながらないというのは大ひんしゅくらしいのだ。だから,就寝時も枕元に電話を置いている(哀しい…)。だからこそ,夜中にかかるワンキリのようなものは精神衛生上非常に良くない。ワンキリする奴に祟りあれ!

*3 その時には当然パソコンのバッテリーも消費されるので,必要最小限に充電を行い,後でパソコンを充電する際に(夜寝ている間に)携帯電話も一緒に充電しちゃえばいいのだ。


5.バッグ

これは,個人の好みによるところが大きいため,最初に,あくまでも私の個人的な考えだということをお断りしておく。

私が現在使用しているのが写真のようなバッグ。たまたま立ち寄った店で,安売りしていたものを見つけだした。私はこのようなバッグが前からほしかったのだ。選択理由を以下に示す。

今回は,最後の点で妥協した。大きさや形を変えられる点を優先したのだ。バッグ外側からの圧力に対しては,一方は外側に付いているポケットが,もう一方はリュックになる部分が納められているスペースがクッションとなると判断したためだ(問題はバッグ上下からの圧力だが,これは解決できていない。特に,バッグを無造作に置いたときのガンという音は…精神衛生上良くない)。

このような条件を満たすもっと良いバッグがあれば,少々値が張っても購入したいと思うので,御存知の方がいればお知らせいただけると幸甚です。



6.デジタルカメラ

これについても,各種雑誌やパソコン・デジカメ関係のサイトで言い尽くされていることなので,ここでは私個人の使い方に限定して話をする。

私個人は,デジカメを目的のものを写真に撮るという当然のことのほか,メモの代用としても使用している。例えば,学会のポスター発表のメモ。ポスター発表はカラーや図表を用いて発表に工夫がなされているため,手書きでメモを取るより写真で記録を残した方がより都合がよい(*1)。そこで受けたイメージがそのまま再現されるからだ。人間の記録に残るのは個々の文章よりもイメージの方が大きいからだ。

最近のデジタルカメラは画質がかなり向上しているので,ちょっとした文章でも後で読み取りが十分に可能なくらいの精度で撮影できる。バス停や駅でみかける時刻表はいちいち手書きでメモるより,デジカメでメモる方が能率的であるのだ。

*1 学会の口演発表はデジカメによるメモに向いているとは思えない。まず,会場が暗いため,十分な露光が確保できないし,座席によってはスクリーンからの距離が離れすぎている場合もある。次に,スライドの進行速度が速い。通常,1枚1分以内でスライドが変わっていく。そのスピードだとデジカメ撮影に気を取られ,発表内容を聞くのが疎かになってしまうこと間違いない。それは本末転倒というものだろう。口演発表のメモは,アナログの手書きメモが勝るのである。


7.おわりに

以上,私のモバイルスタイルを述べてきた。読んでいただければわかったと思うが,私は決してデジタルを絶対視しているわけではない。アナログの方法がデジタルの勝っているところはたくさんある。デジタルツールもアナログツールも所詮道具なのだ。人間の仕事に役立つように開発されたのが道具であると定義するのであれば,自分の仕事や生活に役立つよう,両者のいいところを活かしていくことがユーザーに与えられた課題だと考える。読者の皆さんの使い方も御一報いただけると,私個人の参考にもなり,大変幸甚である。

(平成14年6月8日)